ラマダンで更なる試練

 イラン核問題の包括的解決に向けた同国と主要6カ国(米英仏中露独)の交渉がウィーンで山場を迎えるなか、日の出から日没まで飲食ができないイスラム教ラマダン(断食月)が、イラン交渉団に更なる試練となっている。約13年にわたる問題の決着に向け、飲まず食わずの神経戦が連日約16時間続いている模様だ。

 

 月の満ち欠けにより毎年日程が異なるラマダンは6月18日に始まり、日中の断食は1カ月間続く。一方、次官級外交官や専門家らにより同17日に始まった協議は、イランのザリフ外相や米国のケリー国務長官外相級も加わり、6月末の交渉期限を7月7日に延長してギリギリの交渉を続けている。

 交渉は一部の報道陣を除き非公開のため飲食の様子を知ることはできないが、各国通信社が配信する写真では、イラン交渉団はテーブル上の水に一切手をつけていない。

 イランの最高指導者ハメネイ師が記したイスラム教の解釈書によると、旅行者などは断食の免除対象とされる。旅行は自宅のある地域の境界線から22・5キロ以上離れた土地に行くことと定義され、日程が10日未満なら断食は免除、1年以内の別の日に実施すればよいという。だが、旅行が業務上不可欠な職業の人は出張時も断食すべきだとしており、外交官は免除対象外とみられる。

 イラン人の男性記者は「交渉団は皆、断食している。免除されるとしても、他の人を気遣ってやっているようだ」と話した。