大阪と愛媛でタオル戦争

国内のタオルの2大生産地、愛媛・今治と大阪・泉州の工業組合が、どちらも「生産量日本一」と主張する事態が起きている。四国タオル工業組合(愛媛県今治市、132社)と大阪タオル工業組合(大阪府泉佐野市、102社)。両者を合わせれば、国内生産量の計99%を占める。歴史が長いのは大阪の方で、戦前までは押しも押されもせぬ日本一。これを1950年代後半に、「タオルケット」のヒットなどで四国が逆転し、今に至る。

 

しかし近年差は狭まり、2009年は四国9381トン、大阪9209トンだった。主張の食い違いは、算出方式の違いから起きた。大阪では染色工場に持ち込まれたタオルの量を生産量としているが、四国は、原料の綿糸の供給量に、工程でどのぐらいロスが出るかを勘案した「歩留まり率」をかけて算出する。歩留まり率は2007年まで84%だったが、2008年は90%、2009年は94%、2010年は95%という数字が使われている。大阪側は、ここを指摘して「歩留まり率が毎年変わるのはおかしい。90%ぐらいが適正で、これで計算すれば2009年の四国の生産量は9000トンに届かず、大阪の方が多いではないか」といい、半世紀ぶりの「日本一奪回」をアピールする。

 

昨年末、組合のポスターに〈日本最大のタオル産地〉の文字を入れ、「知名度も上がり、生産者のやる気につながる」と期待する。四国の組合も〈国内最大のタオル生産地〉とホームページで掲げており、「本来の歩留まり率は95%。数字が変わったのは、以前低く抑えていたものを徐々に正常値に戻したからだ。表立って反論はしないが、大阪の日本一を裏付けるデータはどこにもない」という。