9日間で作った、48%のための英新聞「ニュー・ヨーロピアン」快調

 ニュー・ヨーロピアン紙の編集長マット・ケリー氏がBBCラジオの「メディア・ショー」(11日放送)で語ったところによると、同氏が創刊を思いついたのは国民投票の結果が出た翌日だった。

 「通りを歩いていて、多くの人が結果に落胆している様子を見た。まるで誰かが亡くなったみたいだった」

 「結果に怒りを持ったとき、どの新聞を買って読むだろうか?」ケリー氏は頭を巡らせたが、該当する新聞はなかった。

 1986年、インディぺデント紙が創刊されたとき、有名なキャッチフレーズがあった。それは「インディぺデント紙は独立している。あなたは?」である。「インディペンデント」は「独立」を意味する。インディペンデント紙を買って、小脇に抱え、「自分は独立している、自分の意見を持っている」ことを示すのがカッコいいとされた。

 「あんな新聞が自分たちで作れないかな、と思った」。

 そこで、アーチャント社の上司に新聞の創刊案を話してみた。翌週、会議室で議題にかけられ、創刊が決定された。創刊号が市場に出たのは9日後のことだった。

 ケリー氏はテクノロジーの発展があったからこそ、数日で紙面のデザインを作ることができたという。全国に新聞を届けるための体制がアーチャント社にすでに整っていたことも強みだった。

 「ポップアップ新聞」とは造語で、何か月もかけて準備するのではなく、面白いアイデアがあったら、すぐに市場に顔を出す新聞、という意味だという。人気がなくなったら、すぐに店を閉じることもできる。

 ニュー・ヨーロピアンは48ページ。左派系高級紙ガーディアンのコラムニスト、ジョナサン・フリードランド氏、元官邸の戦略局長だったアリステア・キャンベル氏、バージンメディアグループのトップ、リチャード・ブランソン氏などの著名人によるコラムのほか、欧州ではやっていること、特定の国の紹介など盛りだくさんだ。