「黒塗り」のサンタのお供、人種差別か伝統か

 オランダでは、12月5日は聖ニコラウスを祝う日だ。聖ニコラウスはシンタクラースと呼ばれ、サンタクロースの元になった人物とも言われている。毎年、相棒のムーア人(アフリカ北西部の人々を指す)、「ブラック・ピート(オランダ語ではZwarte Piet)」を連れてやって来るとされており、オランダ人たちは、ピートに扮し顔を黒塗りにしてお祭り気分を盛り上げる。ところがこれが、人種差別ではないかと近年問題視されている。


 ワシントン・ポスト紙(WP)によれば、オランダで聖ニコラウスの来訪を祝うのは11月下旬から12月初めで、大きなパレードが全国で開催されるとのことだ。アイリッシュ・タイムズ紙に記事を寄せた在アムステルダムアイルランド人留学生、イーファ・ドランさんは、家族で集まりプレゼントを交換し、子供たちには聖ニコラウスからプレゼントがあることなどは通常のクリスマスと同じだが、1つだけ違う点があると述べ、それがブラック・ピートだと述べている。

 

 ピートは聖ニコラウスのそばで踊り、子供達にお菓子を投げるいたずら好きの褐色の肌を持つムーア人だ(ユーロニュース)。ドランさんによれば、ブラック・ピートは、10世紀の中ごろに、童話の中の聖ニコラウスのお手伝い役として、初めて登場した。典型的な扮装は、顔を黒塗りにし、唇を赤く厚くし、クレオール・イヤリングと呼ばれる大きな円形イヤリングを付け、アフロヘアのカツラを付けるものだという。