“生涯俳優”を貫く執念が隠されていたのだ

   10月からはじまる舞台で彼が演じるのは、サイレント時代のハリウッドの名優ジョン・バリモアの栄光と転落。「いっとき頂点を極めた人が、だんだん仕事がなくなって、どうやって役者として死んでいくのか……。晩年、バリモアさんはアル中で膝臓としていました。僕はそろそろ末期一局齢者。足腰が痛くて、舞台に立てるかどうか限界のところにきている。そんな自分を、彼の姿を借りて暴露しようかなという気持ちになってね」

 

  そんな弱気を吐露しつつも、「実は、15年前に台本を入手していましたけど、ずっと温め続けてきた。この作品をやることが夢でした」

 

  と、語る眼差しには精気が漆る。そして、文字列の中からこんな名句を教えてくれた。

 

  「“夢が後悔にかわるまで、人は年をとらない”。バリモアの言葉です。スポーツ選手

と違って役者に引退はない。舞台で死ぬのが役者の本望といいますが、僕は、イヤだ」

  寝室には、“生涯俳優”を貫く執念が隠されていたのだ。