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ごみ「不足」で争奪戦の北欧2国

  ノルウェースウェーデンの国境を毎日行き来する何十台ものトラックをめぐり、両国が「綱引き」を演じている。それらのトラックが積んでいる貴重な貨物とは、ごみの山だ。

 スウェーデンはごみの分別と再生に熱心だ。ごみ焼却場では、25万世帯分の電気と、95万世帯分の熱を生成しており「ごみが足りない」という珍しい立場にある。そのため、他国から年間約200万トンのごみを輸入。輸入元は主に隣国ノルウェーで、英国やオランダなど周辺国からも運ばれてくる。

「市場と同様だ。廃棄物を国から国へ輸出入するのは、需要と供給に基づくビジネスだ」と業界を代表するスウェーデン廃棄物管理・リサイクル協会(Swedish Waste Management and Recycling Association)のバイネ・ビックビスト(Weine Wiqvist)会長はいう。

 とはいえ、それは自治体や産業界といった「輸出側」が料金を払って、自分たちの「製品」を「輸入側」の焼却場に燃やしてもらうという一風変わった市場だ。

 スウェーデンでは近年、ごみ焼却事業者の数が急増して焼却費が下落した。これは財政の苦しいノルウェーの自治体が、国境を越えたごみ処理に目を向ける誘因となっている。だが、ごみの輸出入のせいで、滑稽な状況も生まれている。

 ノルウェー西岸の街ボス(Voss)は、100キロほどしか離れていないベルゲン(Bergen)に焼却場があるにもかかわらず、約800キロも離れたスウェーデン中部のヨンショーピング(Jonkoping)にごみを送っている。

 ノルウェーの業界関係者は、スウェーデンの焼却業者がダンピングを行っていると非難する。そのせいでノルウェーでは、焼却業が伸び悩むだけでなく、環境に優しい熱エネルギー供給網を築く妨げにもなっていると主張する。

スウェーデンの方が安いのは、たばことビールだけじゃない。廃棄物処理もあっちのほうが安い」と、ノルウェー南部の街クリスチャンサン(Kristiansand)にあるレトゥールクラフト(Returkraft)焼却場のテリエ・ドビック(Terje Dovik)所長はいう。「ノルウェーの焼却場で処分できるはずのごみがスウェーデンに送られてしまうため、今度は私たちが英国から(ごみを)輸入しないとならない」