画面右側のチケット売り場近辺に配される団長

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  トロンボーンを奏でる音楽奏者。本作は制作された1888年頃にパリで実際に興行していた≪コルヴィ・サーカス≫がパレードをおこない客寄せする様子を描いた作品で、画家が夜間の人工的なガス灯の光とそこで繰り広げられる享楽的な情景と雰囲気を描いた最初の大作でもある。


  画面右側のチケット売り場近辺に配される団長。画面中央には段に上がりトロンボーンを奏でる主役となる音楽奏者が配され、画面左側にはガス灯の奥に立つのであろう他の演奏者が、画面右側には立派な髭を蓄えるコルヴィ・サーカスの団長と、そこに付き添う少年が配されている。

 
  背面しか見えない観客の姿。非常に平面的な構成によって描かれる本作では、ガス灯の光とそこに落ちる影でしか空間を把握する術は無いが、本作の独特の抽象性すら感じさせる独創的な場面描写や表現に、観る者は豊かな叙情性、詩情性をも見出すことができる。