ハムのある静物

  後期印象派の大画家でありフランス象徴主義の先駆者ポール・ゴーギャンの最も著名な静物画作品のひとつ『ハムのある静物』。

 

  ゴッホとの南仏アルルにおける共同生活の終焉を迎え、再びブルターニュへ赴いた≪第3次ブルターニュ滞在時期≫に制作された本作は、金属の平皿に置かれたハムや玉葱(又は大蒜)、ワイングラスを描いた静物画で、この頃、ゴーギャンは『扇面のある静物』など約20点の静物画を制作しているが、本作はその中でも特に注目すべき作品として重要視されている。

 

  ゴーギャン静物画は先人ポール・セザンヌの造形性や色彩表現の影響に基づいているが、本作ではそのような観点が消失し独特の虚構的雰囲気が支配している。

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